東京国立博物館資料館所蔵資料紹介 第19回
東京国立博物資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。
2009年7月より展示コーナーを新設し、資料館の所蔵資料について皆様に知っていただくため、種類別にご紹介をしています。
今回は、シーボルト寄贈図書をとりあげます。
第19回 シーボルト寄贈図書
ドイツの医師・博物学者フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796-1866)は、文政6(1823)年に出島のオランダ商館医官として来日すると、文政7(1824)年、鳴滝塾を開いて西洋医学・蘭学を教え、高野長英など多くの門人を育てました。また日本の自然や動植物などを研究して、膨大な博物資料を収集し、文政9(1830)年オランダに持ち帰った後、『日本』、『日本植物誌』、『日本動物誌』などの大著を刊行して、日本の自然や文化をヨーロッパに紹介する功績を残しました。
シーボルト寄贈図書は、安政5(1858)年にシーボルト逐放令が撤去され、安政6(1859)年の再来日の際にもたらされた図書からなります。長男アレキサンダー・シーボルトが明治2(1869)年に外務省に寄贈したものの一部が、現在東京国立博物館に伝わっています。
従来カード目録とリストが作成されていましたが、2010年度に遡及入力を実施し、書誌数にして150件、約300冊の所蔵データを登録しました。刊行年代は、1700年台後半から1850年代までの約100年間の間に収まり、後半の50年(1800年から1850年)に刊行されたものが約8割を占めています。また、内容については、博物学関係、植物学・動物学の分野に集中していることが特徴です。今後個々の資料についての調査を進めて、保存箱への収納、デジタルアーカイブでの公開などを実施していく予定です。
今回の展示は、フランスで刊行された図書4点を展示します。
<展示資料>
1 ビュフォン 『鳥類の自然誌』 第1巻 E0512
Buffon, Georges Louis Leclerc de (1707-1788)
Histoire naturelle des oiseaux. T. 1 A Paris : Imprimerie Royale , 1770
2 ラマルク 『植物学』(体系的百科全書) 図版1 E0566
Lamarck, Jean-Baptiste de Monet de (1744-1829)
Botanique. pt. 1 (Tableau encyclopédique et methodique des trois règnes de la nature) A Paris :Chez H. Agasse,
1808
3 ラセペード 『クジラ類の自然誌』 E0637
La Cepède, M.le comte de (Bernard Germain Etienne de La Ville sur Illon) (1756-1825)
Histoire naturelle des cétacées A Paris : Chez Plassan , l'an XII de la République , [1804]
4 キュヴィエ 『動物界』 魚類 E0570-7
Cuvier, Georges Leopol(1769〜1832)
Le règne animal . Poissons. Atlas Paris : Fortin, Masson , [18--]
<展示期間>
2012年9月10日〜10月30日(途中展示替えをいたします。)