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〔東博資料館〕所蔵資料紹介の展示

資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。2009年7月より展示コーナーを設け、資料館の所蔵資料について種類別に順次紹介をしています。


第3回 売立目録
 
 売立とは所蔵品などを期日を定めて一時に売り払うことで、売立目録とは、その時発行される販売目録を総称したものである。当館では、主として戦前までに東京美術倶楽部や大阪美術倶楽部などで開かれた古美術品の入札会開催時に作成された販売目録を、売立目録として区分している。その所蔵数は、906種1,386冊を数える。
 明治維新後、大規模な美術品の取引が行われるようになるのは日露戦争の後で、明治40年前後に東京、京都、大阪、名古屋などの美術商により各都市に美術倶楽部が設立された。それにより常設の会場ができ、入札のシステムが整った。
 こうした準備期間を経て、大正時代から昭和戦前にかけて空前の大売立時代を迎える。度重なる戦争や世界恐慌によって経済的没落をはじめていた華族たちと経済力をもつ新興財閥の誕生によって、美術品類の売買は盛況をきわめることとなった。この間の入札で話題になった売立目録を紹介する。
 なお、個別解説の価格等は、「美術商の100年-東京美術倶楽部百年史」などの参考資料による。

<展示資料>
1 「赤星家所蔵品入札」    審美書院(印刷)      大正6年(1917)
2 「若州酒井伯爵家御所蔵品入札」  精藝社(印刷) 大正12年(1923)
3 「紀州徳川家蔵品展観目録」  徳川侯爵家       昭和2年(1927)
4 「香雪斎蔵品展観図録」   藤田男爵家什器係     昭和12年(1937)

<展示期間>
2009年9月1日〜9月29日