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東京国立博物館資料館所蔵資料紹介-23

 
資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。2009年7月より展示コーナーを新設し、資料館の所蔵資料について種類別にご紹介をしています。
  
 第23回 漢籍

 資料館では、2013年3月現在約38,000冊の漢籍(現代中国書を含む)を所蔵しています。当館の漢籍の中には、江戸幕府医官多紀元孝の私塾躋寿館(せいじゅかん)旧蔵書に由来し、官学医学館を経て博物館が引き継いだ医学館本など、本草・医学関係の貴重な資料も含まれています。しかし、公開できる目録はなく、漢籍のデータの整備は1984(昭和59)年の資料館開館時以来の課題となっていました。
 目録情報を整備し公開するにあたっては、冊子体目録の作成、全国漢籍データベースへの登録などの方法もありますが、まずは原本の確認と、図書館システムへの登録を実施することを基本とし、2003年6月より運用が開始された国立情報学研究所のコーディングマニュアル(和漢古書抜粋集)に準拠して、NACSIS-CAT(大学図書館等の総合目録データベース)と自館の図書館システムに登録する方法をとりました。2009年度より現代中国・韓国語図書の遡及入力を外注により開始し、2010-2013年度には、線装本漢籍の遡及を実施して、双方あわせて約3万冊のデータを作成しました。 
 これにより、当館で所蔵する漢籍全体の総数は、雑誌製本分などを除き約37,000冊、書誌の数では約3,400件となりました。内訳は、線装本が約22,000冊 洋装本が約15,000冊となります。線装本のうち1911年以前の刊行図書(前記マニュアルで和漢古書として扱う資料)は、書誌数約840、冊数で約12,000冊となっています。
 これらの図書はOPACで検索が可能ですが、図書本体は、資料保存の観点から閲覧を制限せざるを得ないものもあるため、ご覧になりたい方は必ず事前予約をしていだくようになっています。また、傷みのひどいものについては、複製物を作成してそれをご覧いただく方向で、現在デジタル撮影をすすめています。
 図書資料の中から、2007年度、2012年度とデジタル撮影を実施していますが、2013年度からは、漢籍も対象とし、13件の撮影を終えました。撮影した画像は近い将来、デジタルアーカイブとして公開する予定です。また、全国漢籍データベースへの登録や冊子体目録の何らかの公開なども、今後の課題になると思っております。
 今回の展示は、デジタル撮影した図書から4点を展示します。

 
  <展示資料>
     1 『御題棉花圖冊』 (清)方觀承[撰] 乾隆30(1765)年序    062-86
    2 『御製耕織圖』 上册・下册 (清)焦秉貞[画] (日本)櫻井絢摹
       江戸 : 須原屋平助, 文化5 (1808)年    062-61
    3 『方氏墨譜』 卷1 (明)方于魯[撰]
       萬暦17 (1589)年序    062-72
    4 『救荒本草』 卷5-6 (明)朱橚撰
        [京都] : 芳野屋作十郎, 江戸時代中期    052-3-3
    5 『重刊經史證類大全本草』 卷之6-7 (宋)唐慎微纂
         籍山書院, 萬暦28(1600)年     052-4-18

  <展示期間>
     2014年 2月3 日〜 2月27 日