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資料館所蔵資料紹介-6

 資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。2009年7月より展示コーナーを新設し、資料館の所蔵資料について皆様に知っていただくため、種類別にご紹介をしています。


第6回 複製本 

資料館では、絵画や書籍・典籍などの複製本をまとまって所蔵しており、現在約400件を公開しています。複製として別扱いにしているものは、原本に近い装丁で出版された資料です。当館の複製本の中には、外箱やケースがなく、整理に必要な情報が確認できないものもあり、現在、台帳や目録カードと照合しつつデータの入力に努めています。データ公開数は、今後整理の進展に応じて増加する予定です。
古美術品の複製は、大正時代には大和絵同好会などによる絵巻物等のコロタイプ版の複製がなされており、関東大震災で多くの貴重資料が失われたことから、資料の保存を目的とした複製の刊行が多く行われるようになりました。複製本は、オリジナルの状態を記録・保存して後世に伝え、原本の代替物として、研究用の資料あるいは鑑賞の対象物となるとともに、原本の取り扱いや鑑賞方法の疑似体験ができるなどの普及・教育的な利用価値を持つものでもあります。展示と再整理を機会にこれらの資料が活用されることを望んでいます。
今回の展示は所蔵する複製本の中から、4点を選んで展示します。

<展示資料>
1 『平治物語絵巻』(六波羅行幸巻) 東京 大和絵同好会, 大正11年(1922) FS-61
(複製 原本: 東京国立博物館所蔵 鎌倉時代・13世紀)         
2 『継色紙』[東京] [田中親美], 昭和2年(1927)            FB-89
(複製 原本: 東京国立博物館ほか所蔵 平安時代・10〜11世紀)              
3 『光悦謡本』(猩々) 東京 日本古典文学刊行会, 昭和47年(1972)    FB-7
(複製 原本: 東洋文庫所蔵 江戸時代・17世紀)
4 『絵本青楼美人合』〔鈴木春信画〕 京都 臨川書店, 昭和56年(1981)    FB-140  
(複製 原本: 国立国会図書館所蔵 江戸時代・明和7年(1770)