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資料館所蔵資料紹介-5

 資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。2009年7月より展示コーナーを新設し、資料館の所蔵資料について皆様に知っていただくため、種類別にご紹介をしています。

第5回 展覧会カタログ 

 作品を集めて展示をする展覧会は、江戸時代の書画展覧会や物産会、あるいは社寺の出開帳などに起源を持つといわれますが、公共的な展示を行う美術館は、日本では明治政府による博覧会の開催との関連で誕生します。明治10年の第1回内国勧業博覧会において、美術館と呼ばれた最初の建物が建てら れ、第2回の内国勧業博覧会でも、コンドル設計の博物館(現在の東京国立博物館の旧本館)の建物の1階が、美術館として使用されました。しかし、これらの美術館は、博覧会の中のパビリオンの一つでした。
 明治5年に設立された博物館は、明治19年宮内省への移管の頃より、殖産興業から離れて古美術を中心とした性格に変じ、明治22年に帝国博物館と改称、同時に設立された京都と奈良の帝国博物館も、古美術を中心とする美術館でした。明治期の半ばころより、近代美術の美術館を求める運動が起こりますが、国立の美術館は建設にいたらず、大正15年になって、東京府美術館が開館し、美術団体の展覧会の会場として利用されました。昭和8年昭和11年には京都と大阪にも公立美術館が開館します。コレクションを公開するという形の美術館としては、大正6年の大倉集古館をはじめ、大原美術館(昭和5年)、根津美術館(昭和16年)などの私立の美術館が戦前に開館しています。
 戦後、昭和26年に神奈川県立近代美術館が近代美術館として活動を開始して以後、多くの美術館が設立され、展覧会の数も飛躍的に増加して、充実した内容の展覧会カタログが数多く作成されるようになりました。
 資料館で保有する展覧会カタログは、戦前の出品目録や大型の図録類を別にして、およそ、24,000冊を数え、蔵書の中でも大きな割合をしめています。これらはほとんどが、全国の美術館・博物館より、寄贈・交換および収蔵品の貸出などよる納本によって送付いただいたものです。
 今回の展示は、これらの展覧会カタログの中から、昭和20年代の美術館の開館記念展等のカタログ4点を展示します。

<展示資料>
1 『セザンヌルノワール展』 鎌倉 : 神奈川県立近代美術館, 昭和26年(1951)      T0-125-02
2 『ブリヂストン美術館開館記念展覧会』 東京 : ブリヂストン美術館, 昭和27年(1952) T1952-07
3 『第1回展観目録 絵画・陶磁』 大阪 : 大和文華館, 昭和27年(1952)           T1952-14
4 『大原美術館泰西名画展』  [倉敷] : 大原美術館, [昭和29年(1954)]          T1954-12                     

<展示期間>
2009年11月2日〜11月27日